04「消費税は間接税」は「預り金」の誤認を招く分類ですわ！

あのね、ウサコ。消費税導入の1989年には、インターネットは影も形も無かったんだよ。税制改革法の第十七条-2に『国税局は昭和64(1989)年9月30日までは、国民が消費税を知らないから広報、相談及び指導』とあるけど…

新聞やテレビ等のCMは莫大な費用が掛かるから、ポスターや政府広報くらいしか無かったのかもね。そして税制改革法の第十一条-2に『国は消費税の円滑かつ適正な転嫁に寄与するため(中略)消費税の仕組み等の周知徹底を図る』とあって、それは↓

↑この財務省の説明の上半分、これが消費税の基本の仕組み(下図参照)だけど、それが1989年に事業者や消費者に周知徹底されたと言えるだろうか？

国(財務省)は裁判ではさすがに法に基づいた主張をしたけど、国民に対しては「消費税は預り金」というイメージを植え付けたかった…と言うよりも、それで押し通すしかなかったのかもしれない。

なぜなら「消費税は間接税」という大前提があるからだよ。

直接税と間接税の、財務省と国税庁の説明は下記の通りだ。

ナイス、ウサコ！　税法の「納税義務者」は「税を納める人」ではない。入湯税のように「税を納めないといけない人」と「税を納める人」が違う場合がある事からも分かるように、本質的には前者で、後者は「納付義務者」だ。

税法で定められている項目で素直に分類すると、それが自然だろうね。

そうなんだ。国の説明の問題点は2つ。
(1)「実質負担者・負担する人」は税法に規定が無く、定義が不明確。
(2)ほとんどの税は納税義務者＝納付義務者の直接納付税なので、「納税義務者」を単なる納付義務者だと誤認しやすく、結果的に「実質負担者・負担する人」を「課税対象者(債務者)」だと思い込んでしまう。

それがよく分からない。「実質負担者・負担する人」を使った直接税と間接税の分類は、戦後すぐにあったようだけど、誰による定義なのかが分からない。

ここで大事なのは彼らの説明は大筋では「嘘」ではないけど、前提となる知識が無いと「誰の税か」が正しく伝わらない、つまり、誤認を招くという点なんだ。前回、消費税は価格転嫁が予定されていると説明したけど、そのステップは？

そう。そして裁判で国が説明した通り『消費税法自体には、従来の間接税の立法形式と同様、事業者に課される税の転嫁については規定を設けていない』だから『価格転嫁』は『事業者がそうするはず』という『予定』でしかないんだ。

裁判の判決でも、別項の理由で『具体的な転嫁額は事業者の取引上の意思決定に任されている。(中略)同業者との競争といった取引上の事情や商品内容に関する事情、その他諸般の事情を総合的に判断したうえで決定されるもの』とある。

『入湯税も消費税も同じ間接税、ということは…消費税も「預り金」だよ！』と言っていたよね。

消費税の『負担者』が消費者だと説明されたら、消費税の価格転嫁のステップを知らない人は『消費者の税金』だと思うよね。

本当は消費者(価格支払者)の税金ではなくって、事業者(納税義務者＝債務者)の税金なのにね。しかも『間接税』と説明されたら、どうしても消費者が事業者に預けて『納税』すると、誤認してしまう。

ここでは、あえて財務省や国税庁の「実質負担者」を使った分類と「価格転嫁」の知識の有無で生じる理解の違いを、表で整理するよ。

「実質負担者」と納税義務者が異なるから間接税の定義は「消費税は価格転嫁を予定している」という知識の有無で「誰の税か」がまったく違ってしまう。

そして価格転嫁の度合によって、国の定義の直接税と間接税の間で税分類が変化する。つまり、事業者と消費者で負担(実際は金額)の押し付け合いになるんだ。

そうだね。次回は「消費税は預り金」と誤認させるもっとも身近な罠、レシートの価格表記について整理していくよ。こちらの方が影響が甚大かもしれない。